7 バスタ小説「生贄」第五話
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「ハァ?」

アビゲイルの言葉に私は間抜けな疑問符で返した。

「それは何かの冗談か?」
「いえ、冗談でも何でもありません。上座達郎、彼は紛れも無く貴女の息子です」
「だって、おまえ・・私には子供を産んだ記憶は無いぞ」
「それは貴女がその時の記憶を封印しているからです。」

淡々と返答するアビゲイル。

「し、しかしだな、幾らなんでも達郎が私の子供だなんて」
「ディータ=ダークス。混乱したい気持ちもわかりますがとりあえずは私の話を聞いてください」
「あ、あぁ・・・」

私はアビゲイルに諭されとりあえず彼の話を大人しく聞く事になった。

「まず、当然の事ですが彼は貴女が身体を入れ替えて第二の人生を送る前の息子です。そしてその『前世』の貴女が彼を生むに際し引き起こされた出来事が彼を生んだ記憶を封印した事に関わっています」

出来事・・・

「ディータ=ダークス。貴女は前の身体が実験の事故で消滅したと記憶していますね」
「あぁ、私の記憶はそう覚えている。違うと言うのか?」
「実は違います。実際は彼、上座達郎を生んだ事による異常なまでの体力低下によって引き起こされたウィルス感染が原因です」
「え?」
「体力の急激な低下、それは貴女の身体が病弱だったわけでも子供を産むだけの体力が無かったわけでもありません。貴女の赤ちゃん、上座達郎に大量の霊子力を吸収された事にあります」

アビゲイルの言っている事はいまいち要領を得なかったが黙って続きを聞く。

「貴女・・・ここでは彼女と言いましょうか。彼女は今から17年前、彼女が肉体、精神ともに25歳の時に一つの生命を宿します。そして母子ともに問題なく妊娠8ヶ月になった時、彼女はそのころから既に中核の一つとして所属していた組織の上層部にあることを言い渡されました。『赤子に力を移植させてくれ』と」

ゴク。思わずつばを飲み込む。

「上層部の人間たちは計画に関わるある『力』を何処からか手に入れ、それを成長、保管させるために彼女の胎児を宿主として指名してきたのです。当然彼女は拒否しました。当然でしょう、いくら自分の目指す『理想』の為とはいえ、自分の子供を実験の為に差し出すわけにはいきませんから。しかも『異物』を入れるということは自分も相当のリスクを追わなければならないのです。彼女の返答に対して組織はもう一つの選択を選ぼうとしていました。それは宇土グループの次期党首の夫人に身篭っている赤ちゃんに移植しようという選択です。」

赤ちゃん・・・留美子か。

「お気づきでしょうが、その赤ちゃんは宇土留美子のことです。当時の宇土グループは組織の中ではあまり高い地位には居なかった為、組織の要請を断る事は出来ません。当然、夫人は拒否はしましたが・・・・。夫人と親友同士だった彼女はその事を知り彼女が犠牲になるならと、移植を申し出ました。かなり苦渋の選択だったに違いありません。」

アビゲイルの言葉に、そのころの心中を思い出したかのように胸の辺りがズキンズキンと痛む。

「もしかしたら組織が宇土グループに目をつけたのも彼女がそうすれば申し出ると踏んでいたのかもしれません。それだけ組織としては彼女の胎児を宿主として欲しかったのです。なぜなら彼女の家系は古くからの魔女の家系で、錬金術に関する鍛錬は代々受け継がれており術式による魔力、つまり霊力は常人をはるかに超えたものがありましたから。多分このまま宇土の方に移植されていたら子供が生まれるまで持ったかどうか・・・」
「それは一体どういうことだ」

ここで初めて疑問を口にする。

「先ほども言ったでしょう?『霊子量を大量に吸われた』と。『力』を移植してからの彼女の胎児は通常の栄養分のほかに彼女の霊力も糧としだしたのです。魔女の家系の彼女ですら度々吸われすぎによる体力低下に苛まれたのです。他の女性だったら死に至ってしまってもおかしくなかったでしょう」

そういうことか。

「そして運命の日、胎児が羊水の世界からこの混沌の世界へと脱皮したその日、先ほどからもうしている通り、彼女は胎児により霊子力を大量に奪われました。あまりの体力低下に集中治療室に移されたぐらいですから相当のものだったのでしょう。」

・・・・・・・・。

「しかし基本的に体力低下だけだったので後は体力回復を待つだけ・・・のはずだったのですが、運命は彼女に冷酷な採択を下しました。抵抗力が無いのを狙ってかウィルスが彼女に感染してしまったのです・・・完全滅菌状態のあの部屋にウィルスが入ると言う事自体、何者かの悪意を感じずにはいられませんが。抵抗力の無い彼女はみるみる病魔に冒され・・・そして、発病から3ヶ月で死んでしまいました」
「そしてクローン体として今を生きているのだな、わたしは」
「はい。なぜ貴女がクローン体として第二の人生を歩んでいるのかは分かりませんでした。その当時私はこの組織に所属はしていませんでしたから。ただ、おそらくは貴女の類稀無い知識は組織にとってはあまりにも惜しいものだったのでしょう。若しくは魔女としての能力が必要だったのかもしれません。それは貴女に当時の記憶をわざわざ『封印』している事からも容易に想像できます。どちらにしろ貴女はみごと霊子力を解き放つ『鍵』を見つけました。」

薄々は気づいていたがやはり私は『生かされていた』に過ぎなかったわけだな。

「生まれた赤子は達郎と名付けられ上座夫妻に託されました。いづれ訪れる『運命の日』まで」
「そして運命の日は来た・・・と」
「そうです。偶然を装わせ貴女と上座達郎を引き合わせ、今貴女を利用して彼をプロジェクトの軸として引き込もうとしています」
「アビゲイル、そこまで分かっていて何故組織に荷担する」
「ディータ=ダークス。私は彼らの考えている事が『悪』だとは考えていません。確かに行為自体はあまり美しいとは言えませんが彼らなりの不器用なやり方なのだと理解しています。考えてくださいディータ=ダークス、彼に軸となってもらわなければ私達は天使、悪魔のどちらかによって滅ぼされてしまうのです」
「しかし・・・」
「ディータ=ダークス、これから貴女の封印を解きましょう。そして全てを理解した上で判断するのです。『本当』の貴女が何を思い何を考えこのプロジェクトを自分の息子を生贄にしてまで進めてきたかを」
「封印を解く・・・・」
「怖いですか?ディータ=ダークス。しかし事実をお話した以上、中途半端に終わらせるわけにはいかないのです。中途半端はあなたに轢いては上座達郎に決してよい結果は生まないでしょう」
「・・・・・・分かった」

アビゲイルの言う通りだ。今の私は他人からの伝聞とそのば限りの感情で動いているに過ぎない。決断した本当の私がその時何を考え、そして実行したか・・・私はそれを知った上で判断しなければならないだろう。

「アビゲイル。私に掛けられた『封印』を解いてくれ」
「決断されましたか・・・分かりましたそれではこちらへ・・・」

そう言うとアビゲイルは医務室を出る。私はそれについていった。

地下12階

「この脳波コントロールを行う機械で貴女の封印を解除します。なに、すぐですよ。」

アビゲイルは淡々とした口調で椅子に座るように言う。
私は彼の言葉に従って椅子に座った。

「さて、目をつぶってください。ちょっと頭痛がしますが大丈夫ですから」

アビゲイルの大丈夫は全然あてにならないなんだか・・・
そんなことを考えながらも目を閉じなければ始まらないので大人しく目を閉じる。













痛っ!!!!!!!!!!!!!!!!

一瞬脳に針が突き刺さったような激痛を覚える。
次の瞬間、忘れていた記憶が走馬灯のように次々と現れてくる。
これでもかと湧き出る記憶と言う情報が出尽くしたころ・・・・

ツーーーー−−−

二つの混濁した記憶の果てに私は知らず知らずの内に涙を流していた。

「どうですか?」

しばらく放心状態の私に対してアビゲイルは感想を求める。

「私は・・・私は彼に・・・達郎に対し『母』を名乗る権利は無かったようだ」
「・・・・・・・・」

私の言葉にアビゲイルは無言で答える。

「私はこの大罪を避けて通る訳にはいかない。。すでに止める事は出来ないからな・・・・それは17年前に始まっているのだから・・・・」
「決心されましたか」
「あぁ・・・いや、決心は既についていた。記憶の封印が解けた今、逆に冷静に把握出来ている。そう・・・私は冷酷な人間なのかもしれない」

記憶が戻り私は精神的に冷徹になっていると自覚していた。おそらく『封印』にはそういった精神的なものもあったのであろう。

「それは違いますよ、ディータ=ダークス。貴女は全てを理解した上であえて自分を押し殺して事を成そうとしている。貴女はとても素晴らしい人ですよ。それはきっと彼もわかってくれるはずです。」

アビゲイルは私の言葉に慰めの言葉を掛けてくれた。

「ありがとう、アビゲイル。それでも、私は母親としては彼に名乗る資格はないよ・・・」
「・・・・・・」

アビゲイルは再び無言で答えた。

「ところでディータ=ダークス。記憶に戻ったあなたに一つ尋ねたい事があります。」

しばらくしてアビゲイルは話題を振ってきた。

「なんだ?」
「記録を調べていてもあなたの伴侶、つまり上座達郎の父親の名前が出てきません。彼の父親は誰なのですか?」
「あぁ、そのことか・・・・実はな・・・・その部分だけどうしても思い出せないのだ」
「なんですって!」
「彼と会う記憶はあるのだが顔がぼやけていて思い出せない。名前も喉まで出かかっているのだが出てこないのだ」
「それは・・・」
「あぁ、多分意図的に記憶を操作されているようだ。となると記憶の封印解除も『上』の予定通りだったらしい」
「そういう事になりますね。」
「まぁいい。私達は私達のことを成すまでだ。さて、アビゲイル。達郎が決心するまでに『あの子』の調整しなければならないぞ」
「そうですね。それでは行くとしましょうか」
「そうだな」

私達は同じフロアの『あの子』がある部屋へと向かった。



第5話
メガミタチノコクハク



「ところでだ・・・」

部屋に向かう通路の途中、私は思い出したようにアビゲイルに聞く。

「はい、なんでしょう?」
「先ほどの天使。召還したのはお前だろ?」
「あ、承知されていましか」
「当然だ。先ほども言っただろ?『理論派のお前の口調がおかしすぎる』と」
「申し訳ありません。彼の能力を引き出すには荒治療は必要と考えてのことです。ただ」「ただ?」
「私が召還したのは2匹だけです。あとの3匹は私の預かり知らないところ。もしかしてディータ=ダークス、貴女ですか?」
「記憶開放後ならともかく、そんな訳は無かろう。ふむ、とすると『上』がわざわざお膳立てもしてくれたと言う事か」
「と言う事ですね。今後は『上』に対して多少警戒する必要があるようです」
「そうだな。おっと着いた様だな」

ウィーン。

DNAパルスパターンに反応し自動ドアが開く。

「ただいま」

部屋に入った私は目的の『あの子』が入っている巨大なシリンダーの前で語りかける。
そのシリンダー内には5〜6歳ほどに見える少年が目を閉じて立っている。

「私は二つの大罪を犯しているかもしれないな。一つは達郎を生贄として捧げた事、一つは・・・この子『D』を作った事」

シリンダーを摩りながら私は呟く

「ディータ=ダークスあまり自分を責めてはいけません。貴女は私達に『希望』を提示しているのです。究極のエネルギー霊子力を最大運用するシステム『D』。究極のナノテクノロジーが可能にした『細胞』と言う名のナノマシン群生体。人類作による完全なホムンクルス(人工人間)にして第二の実の解除を施してある超人類『エルフ』の基本モデル。人間の細胞モデルを基本として独自の拡張塩基配列を持ったそれは、部分の破損も瞬時に修復し、必要とあればその形態を変化させていく、膨大な『霊子』エネルギーを効率よく運用する理想の『システム』です」
「そう・・・そしてそれは強力な『兵器』となる・・・なぁアビゲイル、達郎には人類の為とか言ったが私達に本当に未来はあるのだろうか」
「先ほどから弱気ですね。それともこれが本当の貴女なのですか?」
「そういうわけじゃないさ・・・多分記憶と感情が戻って、まだ幾分神経が混乱しているのだろう。昔・・いや本当の私はあまり感情的では無いようだからな。こんなナーバスな気分も直に無くなる、今のうちだけさ」
「そうですか」

本当にそうなのだろうか?封印が掛かっていた時の僅かに違う私が昔の私に影響しているものはそんなに簡単に無くなるのだろうか・・・フッ、やはり心はロジカルでは図れないな・・・そんな事を『D』を眺めながら考えていた。










「達郎帰ってこないね」

達郎の幼馴染こと熾堂見神は上座家のリビングでのっぺりくつろぎながら頼子に話し掛ける。

「ほんとね。」

時計を見ながら頼子は言葉を返す。既に時計は8時の針を廻っている。

「ディータさんが用があるって言ってたけど、何の用だったんだろうね」
「なんだろうね。シリアスな顔をしていたから結構深刻な話なんじゃないの?」
「頼姉。もしかしたら達郎に告白・・・とかだったりして」

ケラケラ笑いながら見神が言う。

「ング。ま、まさかぁ〜」
「ん?頼姉なに焦ってるの?」
「え?べ、別に・・焦ってないわよ」
「そうかなぁ?あ、分かった。可愛い弟君に彼女が出来るのは姉としてやだとか」
「え?え、えぇそうかもね。それより見神ちゃんはどうなの?ディータが達郎に告白なんかしてたらピンチなんじゃないの?」

今度はニヤニヤした表情で見神に言い返す。

「んー、別にぃ」

あっさりと否定する。それの反応をみた頼子は複雑な表情をしながら

「あ、そうなんだ」

と一言言うと黙りこくってしまう。

チッチッチッチッ

静かになった部屋は秒針の音だけが聞こえる。既に長針は30分を指そうとしていた。

「頼姉・・・私そろそろ帰るね。本当は帰ってくるまで待っていたかったけど、大晦日だし、お母さんから『早く帰ってきなさい』といわれてるの」
「あ、そうね。おじさんおばさんも心配するだろうしね。でも大丈夫?一人で」
「大丈夫、大丈夫。公園突っ切るからすぐだよ」
「そう?じゃあ、気をつけてね」

頼子は見神を玄関まで送ると『それじゃあ、良いお年を』と言いながら手を振る。

「達郎が帰ってきたら『見神が後で穴埋め、絶対だよ』って言ってたって伝えといてね」
「了解了解」
「じゃぁ良いお年を」

見神はそれだけ言伝ると上座邸を後にした。



「んーーー。寒い寒い早く行こ」

さっき見ていたTVの天気予報によると今日は零下5度以下になるという。見神は脚を早めて近道の公園に向う。



「夜の公園はやっぱりちょっと気味悪いなぁ」

公園を突っ切りながらそんなことをつい口にする。口にする事で不安感が少しは休まるからだろう。そんな中、彼女はふと空を見上げる。

「わぁ・・・・綺麗・・・・」

雲ひとつ無い闇夜の空は無数の星が煌いていた。先ほどの不安感も忘れ、思わず脚を止める。

「こんなに見えるなんて珍しいなぁ。空気が澄んでいるのか、それとも。寒いせいかな?」

感想を漏らしながらじっと空を見上げる。見上げながらゆっくりと身体を回転させると月が目に入った。


こんなに見えるなんて珍しいなぁ。空気が澄んでいるのか、それとも。寒いせいかな?


「こんにちわ、お月さ・・・・・・・・・」

のんきに月に挨拶しようとした見神は急に声を失う。おかしいのはそれだけにとどまらず目の焦点も合っていない。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

じっと月を見たまま硬直している見神。その時、ふと彼女の目の前に何かの影が現れた。その影は人間の姿を見せてはいたが翼が生えそして地に脚がついていなかった。

「お呼びですか?」

翼の生えしその影は硬直したままの見神に話し掛ける。すると見神の焦点は正常な動作を取り戻したようにその影を見つめ返した。ただ・・・その瞳の色は先ほどのそれとは異なっていたが。

「あぁ・・・やつらの動きはどうだ?」

その姿に臆する事も無く見神は影に話し掛ける

「えぇ、どうも人間が件に絡んでいるようです。すでに幾つかのゲートが確認されています。まだ上位のものどもが出てこれるほどのゲートは発見されていませんが、このままだと時間の問題かと」
「く、人間どもめ。庇護と寵愛を受けている身でありながらこの暴虐ぶり。やはり滅するしかないのだな」
「まぁまぁ、貴女の忠誠心は素晴らしいですがその直情的なところはあまり感心しません。人間にもいろいろいるでしょう、例えば貴女のお知りあいの・・・・」
「頼子と達郎か・・・そのことを考えると件に関して心が少し痛む」
「そうですね。ところで達郎といえばやはり彼が・・・なのですか?」
「あぁほぼ間違いないだろう。人間の方もその辺りには既に気がついているらしい・・・・若しくは既に仕掛けているのかもしれない」
「では引き続き彼についてはお任せします」
「あぁ判った。そちらの方も引き続き頼む。約束の時は近いからなラファエル」
「えぇ・・・そうですね、ミ・・・ん?」

ラファエルと呼ばれた影は途中で言葉を止めて周りを見る。そこには3,4人の少年が見神を取り囲みつつ近づいてきていた。

「へ〜ぃ、彼女?そんなところでぼーっと独り言言ってどーしたのぉ〜?もしかして電波系少女ってやつ?」

どうやらラファエルの姿は彼らには見えていないようだ。

「・・・・・・・・・・・・・」

その少年に対して無言で見つめる、見神。

「まぁなんでもいいや、彼女一緒にそこで遊ばない?こんな寒い日だからさぁ俺たちがあっためてやるよ。ヒヒヒヒヒ」

卑下な言葉を投げかける少年。

「はぁ・・・お前らのような人間を見ていると頭が痛くなってくる。下賎なるものども、早々と立ち去れ」

それに対して見神はまったく興味の無い風に面倒くさそうに答える。

「そーんなつれない事言わないでさぁ、あっち行って遊ぼうぜぇ。きもーちよくしてあげるからさぁ」

なおヘラヘラ笑いながら見神に近づき、そして馴れ馴れしく手を掴む。

「触るな!」

直後、見神は一喝を入れ掴まれた腕を振り払う。
驚く事にその払いによって手を掴んでいた少年は2,3メートル向こうに飛ばされてしまう。

「ウワ!・・・い、いってぇなぁ。人がしたでに出ていればいい気になりやがって」

飛ばされた少年は驚きと共に怒りの為に、お門違いの事を言い出す。

「ふぅ・・・自己中心もここまで来ると呆れて何もいえないな」
「う、うるせぇ。おい、この女とっ捕まえろ!生意気な事を二度と言えないようにしてやる!」

飛ばされた少年の合図とともに残りの少年たちが見神に襲い掛かる・・・が、

「失せろ!」

再び一喝を入れると腕を左右に広げ両の手を開く。
一瞬、両手の周りの空気が揺らめいたかと思うと次の瞬間少年達は向かっている方向と逆方向に何かにどつかれた様に弾き飛ばされた。

「な、な、なんだ・・・・」

その様を見ていた少年は漫画のような光景にあっけにとられている。
ただそれの光景を作ったのが今襲おうとした少女によるものと言う事だけは理解したようだった。

「まだやるのか?下賎なるものよ」

見神はあっけにとられている少年を一瞥する。
少年はその時の事を仲間に対して後にこう語ったという「俺を睨みつけるその瞳はあまりにも感情が無い、まるで『死神』の様だった」と

少年は首をブルブルふると一目散に走り去る。その様子をみて他の少年達も一目散に逃げさっていった。

「やれやれ・・・」

再び静かになった公園でため息をつく。

「貴女に睨まれた少年、涙流していましたよ」

少年達には見えなかった影は見神に話し掛ける。

「自業自得だ。無傷なだけましだろう」
「まぁそうなんですけどね。それでは私はそろそろ行くとしましょう」
「あぁそうだな。私もそろそろ帰らなければ見神の両親も心配するだろうしな。それではまた」
「はい」

影はそれだけいうと、大空に消えていった。
見神はその姿を送るように月を再び見つめた。







「あれ?」

しばらく見つめていたが急に疑問系を口にする見神。

「あれれ?私なにしてたっけ?」

先ほどとは口調が異なりいつもの彼女のものに戻っている

「んーーーーーー、またボーっとしたのかな?最近多いなぁ」

今まであったことはまったく覚えてないらしい。

「うーー、寒!はやくお家にかえるのだぁ!」

冬の寒さに一度身震いすると見神はそそくさとその場を離れていった。












「た、ただいま」

速攻で研究所から帰ってきた俺は恐る恐るドアを開ける。

シーン

返事が返って来ない・・・・や、やばいなこれは。

「おーぃ」

シーン

やっぱり返事は無しだ。

「怒って寝ちまったか?」

俺はソロリソロリと家に上がりリビングへと向かう。

ギィ・・・

ソォッと扉を開ける・・・と

「おわ!」

扉を開けたその目の前には仁王立ちの頼子の姿があった。気のせいか青いオーラが立っている様に見える。

「お・か・え・り・た・つ・ろ・う・ちゃん」

こ、コワ。これはDDTじゃ済まないか?

「お返事は?」
「おぅ・・ただいま」
「それだけ?何か言う事あるんじゃないの?」
「・・・・・遅れて悪かった」
「本当に反省している?」
「お、おぅ・・・」
「良し、今回は特別に許す」

それだけ言うとニコっと笑う。やはり気のせいなのか青いオーラもなくなっていた。

「せっかくの達郎の退院祝いだしね。それにディータも・・・あれ?ディータは?」

俺越しにディータを探す。

「ちょっと急用が出来たって言って、来なかった。」
「え〜?そうなの?なんでなんで?」
「さ、さぁ?そこまではしらねぇよ」

まさか、研究所でバトルってその後片づけで来れないとは間違っても言えない。

「そっかぁ。用事があるんならしょうがないわね。冷めちゃったけど今あっためるから、服着替えちゃいなさい」
「あぁ・・・。あれ?見神は?」
「なにいってるのぉ。もうこんな時間よ、帰ったわよ」
「そうか・・・見神に悪い事しちまったな」
「そうそう、見神からの伝言『穴埋めするように』だって」
「へぃへぃ」

そう答えると着替える為に自室に戻る。


「ふぅ・・・今日はなにがなんだか・・・とにかく疲れた」

服を着替えつつ今日のことを思い出す。

ディータに言われた言葉、霊子力、天使、俺がADAMである事・・・・それに対して俺はどう答えれば良いのだろうか?

『今の姿を失う可能性がある・・・』

ディータが俺に言った言葉。普通はこの時点で断るはずだ。しかし、何故か断れ切れないでいる俺がいる。なぜだ。

「達郎〜、用意できたわよ」

部屋の外から頼子の呼び声が聞こえる。考え事をしている間にだいぶ時間が経過していたようだ。

「おぅ。すぐ行く」

俺は止めていた手を再び動かし着替えを済ますとリビングへと向かった。




「それじゃぁあらためて・・・退院おめでと」

「おかげさまで」

チン

グラスに注いだ二つのシャンパンを合わせる。



「ねぇ達郎」

テーブルの前にある頼子と見神の料理を無心にぱくついている最中、頼子が俺に話し掛ける。

「ん・・・?」

骨付きチキンを頬張りながら返事をする。

「今日・・・さ、ディータと何があったの?」

ギク・・・何があったって・・・なに話しゃいいんだ・・・・

俺が答えられないでいるとその反応に敏感に反応した頼子は

「達郎、あんた何隠してんの?」

と、鋭く突っ込んでくる。
女ってやつは元来、恐ろしいほどの観察力を持っている。いわゆる『女の勘』というヤツだが、こっちが少しでも違和感のあるしぐさをすると敏感に反応してくる。男には絶対真似が出来ない特殊芸能だ。

「べ、別に何も隠してなんかいねぇよ」

ただ、今の場合俺の反応は男でもわかるかも知れねぇけどな。

「いーえ、そのあからさまに『やべッ』という反応!絶対何か隠してる」

睨むというほどもないジーっとした瞳で俺の瞳を見ながら俺の返答を待つ。

「別に・・・ただ、ディータの研究所に行っていろんなものを見せてもらっただけだよ」「うそね」
「ウソじゃねぇよ」

研究所で色々なものを見せてもらった事に嘘偽りは無い・・・が多分頼子の良いたい事は
「私が聞きたいことはそーゆーことじゃないの。勘の良いあんたなら私が聞いているのがそんなことじゃない事位わかるでしょ?だから言ったの。『うそね』って」

思ったとおり。ま、そんなこと別に勘がいい悪いに限らず言いたくないことがある場合判るけどな。

「・・・・・・・・・・・」

ディータには『他言無用』と言われている以上下手に説明できない。かといって繕っても恐らくすぐに見破られるだろう。
そんなことを色々考えあぐねていると頼子の方から口を開いた。

「もしかして、告白された・・とか・・・」

は?

「なんでそういう話になる?」

即座に否定したのであっちも『え?』という顔を俺に返す。

「なんで俺がディータに告白されにゃいけん」
「じゃ、じゃぁもしかしてアンタ、ディータに襲いかかったとか」

ぉぃ

「それともディータの方から・・・」

頼子は自分でそう言いながら顔を赤らめる。
ぉいぉい

「頼子・・・なんか勘違いしてねぇか?」
「え?だって、やっぱ、そうなんじゃないの?」
「だから、なにが、どうすれば、『そうなる』んだよ」

勘はいいんだが、思い込みが激しい分結論が真実と遠ざかっている。なんでそんな思い込みをしていたのかは判らないが・・・・今回の場合その『勘違い』のおかげでどーやらなんとかごまかせそうだ。

「だから言ってるだろ。おれはディータが勤めている研究所に連れて行ってもらってそれに関するものを見せてもらっただけ。」
「・・・・本当にそれだけ?」
「そ・れ・だ・け」

自分がとんちんかんな思い違いをしていたのを知った頼子はその場はそれ以上の追及をしてこなかった。
頼子は気恥ずかしさからか、その話題をなかったことにするように話題を切り替えて話し始めた。
おれはそのおしゃべりに付き合い、うなずきつつ、そのディナー時間は過ぎていった。


「たつろうー。お風呂出来てるから先はいんなさーい」

リビングでくつろいでいた俺にキッチンで後片付けをしていた頼子が声をかける。

「うぃうぃ」

良く考えたら、結構汗かいてたんだっけか。
俺はそそくさとバスルームにしけこんだ。

ざぱーん

「あー極楽極楽」

中年くさい台詞をつい吐いてしまいつつ湯船につかる。
しばらくして俺の脳裏に『ディータへの答え』のことが思い出される。
おそらくディータの言っていることは事実だろう。アイツに見せられたものや実際に俺の前に現れた『天使』と呼ばれる化け物との遭遇ということと他にアイツの言葉が事実であるとこたえる俺の心を感じる。
でも、だからって俺はどうすれば良い?いくら世界の命運がかかっていると言われても、俺個人の犠牲でそれが回避されると言われても『ハイそうですか』と生贄になれるほど俺は人間ができちゃいない。だが、それと相反する気持も存在する・・・自己犠牲と違うそれが必然であるといわんがばかりの心の叫びを感じる。
だから俺はまよっている・・・のだろう。

「たつろー?湯加減どう?」

その時、頼子がバスルームの外から俺に声をかける。

「あっ・・ん・・・ちょうど良いぜ。極楽極楽ってやつだ、どうだ?一緒に入んねぇか?」
「ばーか、何言ってんの。馬鹿言ってないで、ゆっくりつかって、体休めなさいよ。まだ病院出たばっかなんだからね、アンタは」
「へいへい、判りました。お姉さま」
「素直でよろしい」

そう言うと頼子はバスルームから離れていった。

頼子・・・彼女にこのことを話したらどういう答えが返ってくるのだろう?
多分、否定の答えが帰って来るだろうな・・・姉としては地球の命運より弟の命の方が大切に決まっている。俺だってそうするだろう。
姉・・・か・・・。俺は頼子を姉として慕っているのと同時に、女として愛している。頼子も俺を弟として可愛がってくれているのは判るが・・・男として見ていてくれているのだろうか?あの3ヶ月前のパーティの夜、喧嘩のどさくさ紛れにバースディプレゼントとして渡したあの口紅を頼子は翌日から付けてくれている。それは俺を男として見てくれたという事なのだろうか?それとも単に弟の可愛いプレゼントとしてか見ていないのか・・・

「そんなこと考えたって分かる訳ねぇか」

そう、こればっかりは本人にきかなきゃ判らない。だが・・・聞けるわけねぇよな。



風呂からあがった俺はそのまま自分の部屋にこもる。
部屋に入った俺は上半身は裸、下は寝巻き代わりに使っているジャージを履いてベットの上に乗って壁に寄りかかっていた。
そして帰ってきてからずっと考えては中断していたことを再び考え始める。


『D』・・・ディータの携わる計画の要・・・それを成す為に俺が必要であると彼女は言う・・・それが外敵から守りうる切り札であると・・・彼女は恐らく俺を兵器の中核として使うつもりなのだろう・・・時間は無い・・・しかし完成はしていない・・・ならば手っ取り早いところで俺の命はその兵器として使われるのは自明の理だ・・・そうであるならば俺はまさに生贄としてこの体を捧げることになる。

「だったらどうする」

考えるまでも無い事だ、俺がそこまで関わる義理は全く無い。
そもそも頼子を・・・そう頼子を悲しませる事になる・・・それが弟としてでも悲しませるわけにはいかない・・・

「明日、断るしかないな」

そう決めたらスッキリした・・・と思ったがすぐに先ほどからずっと感じる「違和感」が頭の中を渦巻く。なぜこうまで協力することに対して未練を感じるのか・・・なぜだ・・・

何かを考えるわけでもなくそのままの体勢でボーっと天上を見つめる。


チッチッチッチッチッ・・・


静寂・・・ただ置時計の秒針の音だけが規則正しいリズムを保ちながらその場を支配していた。


コンコン


どのくらい経過したのだろうか不意にドアを叩く音がする

「達郎?もう寝ちゃった?」

ドアの向こう側からドアを叩いた主、頼子の声が聞こえる。

「ん?いやまだ寝てねぇよ」
「ちょっと入って良い?」
「え?あぁ別にかまわねぇよ」

キィ・・

おれの返事に併せて扉が開く。開いた扉からは既に風呂に入ったのだろう、パジャマ姿の頼子が入ってきた。

「な〜に?上半身裸でぇ。風邪ひくよ」

そんなことをいいながら俺のほうに近づいてくる。シャンプーの匂いと濡れた髪が艶っぽい。

「だーじょーぶだよ。それより何の用だ?」
「あ。そうそう、今日大晦日じゃない?だから年越しそば食べるかなぁと思ってさ」

あぁそういえば今日は31日だったっけ・・・すっかり忘れてた。

「おぉ、喰うぜ。俺ざるそばで頼むな」
「はいはい、あんたの好みは宣告承知よ」

宣告承知、か・・・姉弟だしな・・・当然か

「じゃぁできたら呼ぶから・・・転寝しちゃだめよ」

そう言うと頼子はそのまま外に出ようと扉に向かう。

「あ、頼子・・・」

何気なく寂しさを感じた俺は反射的に頼子を呼び止める。

「ん・・・なに?」

振り返った頼子は笑みを浮かべながら応えた。

「あ・・・いや、やっぱなんでもねぇ・・」

思わず呼び止めてしまったんだろう・・・

「なぁに、それ?たつろう・・・」
「な、なんだよ」
「あんた、家に帰ってきてからおかしいよ。さっきから難しい顔しちゃってさ・・・やっぱなんかあったでしょ?」

そう言いながら頼子はこっちに戻ってきてベッドの横にちょこんと座る。

「べ、別になんにもねぇよ」
「う・そ。なんかボーっとしてるよ、絶対。それにほら、今だって少しどもった。なんかあるって証拠じゃない」

食事の時もそうだったが女の観察力というのはやはり恐ろしい。こういう細かいアクションを逃さないという能力は普通の男にはまず無理だろう。

「ディーダと何かあった?それとも私には話せないこと?」
「・・・・・」

思わず目をそらす。

「こら、こっちをちゃんと見る」

両の手でおれの頭を抑え、無理矢理目を合わせさせる。

ドキ

俺は不意に触れられた両の手の感触に心臓の鼓動が早くなったのを感じた。

「・・・・・・・」
「・・・話せない?やっぱり、ディーダに告白された?」

両の手を離す頼子。
妙にその話にこだわるな・・・妬きもち・・・そんなことあるわけ・・・・。
否定をしつつもそんな憶測に俺の鼓動はどんどん高まっていく。

「・・・・んなわけねぇだろ」
「じゃぁなんで、顔が赤くなってるのよ?」

え?・・・確かに顔が高潮しているようだ。とっさに再び目線を外してしまう。

「あ、また目をそらす。ちゃんと応えなさい」
「別にそんなんじゃねぇよ」
「じゃぁなんで顔真っ赤にしてるのよ」

どー言い訳すれば良いんだ?おれの頭の中は高なる鼓動も手伝って軽いパニック症状に陥ったようだ・・・そして、つい

「どーなのよ?」

という更なる問いに

「よ、頼子のせいだ・・・」

本音を滑らせてしまった。



え?



そういったのだろうか?幻聴だったのかもしれない。しかし俺の耳には驚きの言葉に聞こえた。

「頼子が触れてくるから、頼子が妬きもち焼いた風なことを言うから・・・」
「な、なによそれ・・」




「俺は、お前のことがすきなんだ・・・・」





破れかぶれ、その場の勢い、色々表現はあるだろうが・・・・とにかく俺は頼子に胸の内を告白してしまった。



「・・・・・・」
「姉と弟だっていいたいんだろ?判ってるさ、でもな、俺たち血はつながってないんだぜ?」
「・・・・・・」
「そりゃぁガキの頃から女として見てたわけじゃないさ。姉として慕ってたよ。でも、俺が養子だと知ったあの時から、俺の中には『姉』としてより『女』としてのおまえを見るようになってきちまったんだ・・・」
「・・・・・・」
「そりゃぁ、頼子にとっちゃ可愛い弟が自分に告っちまってるんだから迷惑だろうけどさ・・・」
「・・・・・そんなこと・・・ないわ・・・・」
「だからってこの気持をいつまで・・・・え?」
「やっと言ってくれた・・・」

頼子の言葉に一瞬わが耳を疑う。

「・・・・は?」
「だから告白」
「え?だって・・・」

ちょっと予想外のその言葉にうろたえる

「知らなかったと思ってるの?ただの姉弟が空港のロビーでキスしようとする?外人じゃないんだからさ」

・・・・そーいえば・・・・あんときは何がなんだか・・・そのあとあんなことあったし・・・・すっかり忘れていた・・・・

「前々からそーじゃないかなぁとは思ってた・・・と言うよりほとんど承知してたんだけどね」
「い、何時から・・・」
「うーん、『もしかして』と思ったのはだいぶ前。で、確証したのは3ヶ月前のプレゼントの時。あからさまなのよあんた。」

そ、そうだったのか・・・

「じゃぁ判っていてずっと黙っていたのか?」
「ん・・・黙っていたって訳じゃなくて・・・・」
「じゃなくて?」
「なんか・・・やっぱり恥ずかしいじゃない・・・」
「それって・・・」
「もう!これ以上言わなくたってわかるでしょ?」

いくらこの手のことに鈍感な俺でもわかる・・・が

「わかんねぇ。頼子の口からはっきり聞きたい」

頼子の隣に移動して俺は問いただす。

「・・・・・・」
「俺は頼子を愛している・・・この世の誰よりも」

いつもはとてもいえないような恥ずかしい台詞。だが今言わないで何時言うのだろうか。

「・・・・・・」
「頼子はどうなんだ?頼む、聞かせてくれ。遠まわしじゃ嫌なんだ、はっきり聞きたいんだ」

まるでガキだな・・・と心の隅でそう思いながらも、止められない感情を頼子にぶつけ続ける。

「・・・・・・わたしだって・・・・達郎のこと好きだよ・・・ずっと前から」

ちょっとうつむいたまま俺の問いに答える。よく見えないその顔はきっと真っ赤なのだろう。

「弟してよりも?」
「うん」
「男しての俺を?」
「うん」

素直に返答するその姿におれは喜びと、安堵と、そして欲望の感情が渦巻く、

「頼子・・・・キス・・していいか?」

本当は黙ってするものだろうが・・あえて頼子に了解を求めた。

「う・・・ん・・・・いいよ」

多分、従順に反応する頼子を見たかったのかもしれない。その証拠に俺の中の欲望がさらに掻き立てられる。
俺は頼子のあごを軽く持ち上げるとそのまま唇を奪う。

ん・・・・

やわらかい感触。ほのかに香るシャンプーの残り香。唇から感じる頼子の体温・・・・瞬間、俺の中の何かがはじける。

「頼子・・・お前が欲しい」

早急すぎる・・・冷静な俺ならそう思うに違いない。しかし歯止めが外れた今の俺にはそんなことは全く考えられなかった。

「・・・・・いいよ」

意外なほどあっさりとYESが返って来る。その言葉が逆に俺を少し冷静にさせた。

「え?」
「だから・・いいよ。達郎になら・・・」

少し目を潤ませながらそう答える頼子に、俺は

「愛している・・・」

そう一言言うとベットに頼子を覆い被さるように押し倒しす・・・・










そして・・姉弟を打ち破る熱い夜はふけていった





Writing finish 2000/09/12