7 バスタ小説「生贄」第六話「カウントダウン」A-Part
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地平線が見えるほどに広大な荒野。やせ細った木々と埃塗れのハイウェイだけがここが異界の地ではないことを証明している。
ここはアメリカ。この地には軍が管理している施設が点々と存在している。
その所為であろうか、昔からこの区域ではオカルトめいた話には事を欠かない。光る飛空物体、原因不明の失踪事件、人とも動物とも言えぬなぞの生命体、等など・・・。
そう言った話が好きなマニアは言う「あそこでは宇宙人と政府が協力して宇宙船を開発しているのだ」。
当然人々はそんな与太話は信じてはいない。
しかしそれがある意味真実であったことを彼らはいやがおうにも思い知らされることになる。
その地・・・人々はこう呼ぶ「エリア21」と。


第六話 カウントダウン


「遂に時は来たか」

暗闇にわずかながら人工の光が射し込む部屋の中、男の声が聞こえる。

「『予言』とはタイムスケジュールが多少ずれているが」

男の言葉に呼応するように別の男が言葉を発する。見るとその部屋には長方形の卓を囲んで7,8人の男がいるようだった。

「それは我々の『干渉』の結果だろう。誤差の範囲内、いや『予言』を覆すものとすればそれは予定通りと言えよう」
「確かに・・しかしどうするのだ?我々の切り札となる『D』は未だ完成を満たない。『A』だけではこの計画はまったく無意味なのだぞ」

また、別の男が異論を唱える。

「その件についてはすでに決がついている」
「と、いうと」
「時間がない今『生贄』は強制をもって執行する」
「それはリスクが高くはないのか?」
「問題はない。それに新時代を作り出すときリスクはつきものだよ。」
「そ、それはそうだが・・・」
「大丈夫だ。それに我々には『協力者』がついている」

その言葉に対しその男はそれ以上反論するのを止める

「あとは『A』のお披露目が終わるのを待つばかりだ・・・・さぁ姿をあらわしてくれ。『白き御使い』達よ」

口元を緩めながら男は呟くのだった。




AM07:00

「・・・・・・・・よ」

寝てるんだか起きているんだかよくわからない感覚。いわゆる「惰眠をむさぼっている」俺に誰かの声が聞こえる。

「た・・う・・・・う」

ウーン、俺はもっと寝ていたいんだ・・・

「ま・・く、し・・・ないなぁ」


チュ


ん?頬に感じる柔らかい感触。
おれはその感触を確かめるために重い瞼をゆっくり開いた。
それにあわせるように音声もはっきり聞こえる。

「お、起きたな。朝だぞぉ」

声の主は・・・頼子か・・・
あ、そうか。昨日、あれから一緒に寝ちまったんだっけか

「うー」
「なぁに?まだ寝ぼけてんの?」

キーキーいっている頼子のほうをボーっと見ている。頼子はベットの外から白いシーツを体に巻いてこっちを見ている。

「んー、今何時だ?」
「7時よ」

まだそんな時間かよ。まだ眠い・・・

「まだ寝るわ・・・オヤスミ」
「なにタコなこと言ってんの!今日は何の日だかわかってんの?元旦よ!元旦。年の始めぐらいシャキっとしなさい」

別に元旦でも盆でもなんでもいいじゃねぇか・・・と思いながら何気に頼子の方をもう一度見る。
さっきは気がつかなかったが巻いている白いシーツに光が当たり頼子のボディラインがくっきり見える。かなりエッチだ。
その瞬間今まであんなに俺を支配していた睡眠欲から急激に開放される。そして変わりにほかの欲情が沸いてきた。更に昨夜の記憶がよみがえる!もう駄目だ(なにがだ)

「頼子ちょっと」

まだ寝ぼけているフリ(当然とうの昔に頭の中はバッチリシャッキリ)をしながら手首を振って「コイコイ」のジェスチャーをする。

「ん?なに?おきる気になった?」

そう言いながら頼子は俺に近づいてきた。チャンス!

グィ

「え?」

俺は頼子の手首を取ってベッドの上に引きずりこんだ。
盛りのついたオスはとどまることを知らない。

「な、なにやってんのよ。ふざけてないで早く起きなさ・・・ング」

言葉の最後まで言わさず、俺は頼子の口をふさぐ。

「え?な、何?」

ちょっとパニクり気味の頼子に対しておれは即座に答える。

「ひ・め・は・じ・め」

そしてそのまま俺は頼子に覆い被さると昨日発見した頼子の弱点(=耳)を舌を使って責め始めた。

「ちょ、ちょっと。朝からなに狼になってるのよ!やめなさいって・・・やめ・・・・ア・・・」




※以下自粛。なにがあったかはご想像にお任せいたします(笑)



AM09:10

「ったく、あんたには理性ってものが無いの?」

予定より2時間ほど遅れて朝食中。
正月ではあるが特に御節などのこれといったものは用意しておらずいつもどおりのブレックファースト。
まぁあえていつもと異なる点を探すとすれば俺の頭は頼子におもいっきり叩かれていまかなりヒリヒリしている。
「こと」がすんだ後に突然ぶったたかれたため。

「なんだよ〜、頼子だったてあんなに・・・」
「う・・・うっさいわね!最後まで言ったら殺す」
「ヘイヘイ・・・」

たくよ・・・人が余韻に浸ってるところ思いっきり殴りやがって。まぁそれも照れ隠しなんだとおもえば可愛いものか

「なにニヤニヤしてんのよ?」
「別にぃ〜。頼子のさっきの可愛い顔を思い出していただ・・・」

グオ!

次の瞬間俺の顎に頼子の腕が豪快に炸裂する。ラリアートだ。

「そ・れ・い・じ・ょ・う・い・う・な・っ・て・い・って・ん・で・し・ょ」

顔を真っ赤にしながらも怒りのオーラを立ち込めている。こ、恐。

「ゲホゲホ・・・よ、頼子が聞いたから答えたんじゃねぇか」

せき込みながらかろうじて反論する。

「じゃぁその事はもう考えるな」
「べ、別にそんな事、人のか・・・」
「分かった?」

さらにオーラが立ち込める。

「は、はい・・・」
「よろしい」

たじろぎつつ了承するとはちきれんまでのオーラは一瞬にして消えた。

・・・それにしても別にいいじゃねぇ・・・
別に俺たち以外に人がいるわけでもなし今更なぁ・・・これだから女はわからん

「やっぱり御節とか用意したほうがよかったかな?」

頼子は目玉焼きを上にのっけた食パンをパクつきながらそんなことを俺に聞いてきた。

「別にぃ。大体御節なんてそんな美味いもんじゃねぇし、作るにしたってめんどくせぇし、買ってくるっつったって暴利の様な値段だし、いらねぇよ」

率直な感想を述べる。

「まぁ、そうね」

俺の意見は頼子も賛成のようだった。


ピーンポーン


その時、呼び鈴が鳴る。

「あら、お客さん。は〜い」

頼子はパタパタと玄関口に向かった。

「達郎ぉ」

しばらくして頼子の呼ぶ声がする。どうやら俺の客のようだ。
まだ食ってる最中だっつーのにとぶつぶつ思いながら玄関に向かう。

「たつろー!あけましてオメデト」

年明けそうそうの来訪者は腐れ縁ともいえる幼馴染、織堂見神だった。

「あぁ。おめでとう」

俺も反射的に言葉を返す。正直新年という感覚がまだない。

「で、何のようだ?」

ズル

俺のリアクションに漫画的な反応で見神は返す。

「何いってんのたつろー。この格好見ればわかるでしょう?」

このかっこーつってもなぁ。見神はいま晴れ着を着ている。もともと日本人離れした(まぁクォーターだから純粋ではないが)顔つきとプロポーションが中々晴れ着に合っている。ほかの男どもなら煩悩丸出しで寄ってくるだろう。だがこいつの裏も表もよーく分かっている俺にはまったく効果はない。

「馬子にも衣装だな」

見神の言いたいこと分かっているがすっ呆けて、何時もどおり悪態をついてみる。

「たつろーの意地悪。晴れ着といったら『初詣』でしょ!」

・・・・・なんでそうなる。

「と言うことで初詣いこ?」

・・・・・話を勝手に進めるな

「・・・昨日約束やぶった・・」

う、顔に出てたか。くそ、痛いところをついてくる。

「そういうことでちゃっちゃとレッツゴー。頼姉も準備準備」

こっちは何もいっていないのに見事に話は成立している。やはり腐れ縁というのは恐ろしいものだ。

「ハイハイ。たつろ、観念して用意しなさい」

となりでクスクス笑っていた頼子もそういうと着替えに自分の部屋に行った。
ま、いいか。どうせすることないし、見神の言う通り昨日のこともあるしな。今日のところは見神の言うことを聞いとくとしよう。

「わかった、わかった。見神、着替えてくるからちょっと上がって待ってろ」
「りょーかい、りょーかい」

見神はテケテケとうちに上がり、着替えをする為に自分の部屋に戻る



AM07:45



「頼子はまだかぁぁ・・・見神のやつも頼子に呼ばれてから戻ってこねぇし」

俺は5分ほどで出かける準備を完了させリビングで見神と待っていた。そして15分ぐらい前
「見神〜、ちょっと来てぇ」
と頼子に召喚されたものの戻ってこない。いつまで待たせるんだ?



AM07:55



「だぁぁぁ!もう限界だ!遅ぇにもほどがある!」

ついにブチ切れた俺は立ち上がる。頼子の部屋に怒鳴り込みにだ。着替えていようがかまいやしない。遅いあいつが悪いのだ。
が、その行動は立ち上がった時点で終了する。

「お待たせぇ〜」

ちょうど頼子が来たのだ。

「『お待たせぇ〜』じゃねぇよ!いつまで時間掛け・・・」

文句のひとつも言ってやろうとしたが途中で止まってしまう。なぜって?

「ん?どうしたの?固まって。あ、これ見てびっくりしたんだ」

振袖・・・それが言葉が止まった理由と頼子がここまで時間がかかった理由だった。

「ねぇ?似合う?」

そりゃもう・・・・。

「ねぇ?黙ってちゃわかんないじゃない」
「あ・・・ぁ、ぉぉ・・・」

何か言おうにも言葉が出ない。

「なによぉ、黙ってちゃわかんないじゃない。あ、それともあんまり綺麗なんでびっくりしたとか」

図星だ。
俺は答える変わりに目線を思わずそらせてしまう。

「クフフフフフ・・・愛い奴じゃのぉ」

俺のその反応を見て楽しむ、頼子。うっせぇなぁ・・・たく。

「たつろーずるーい、なんで頼姉と私とそんなに態度ちがうのよぉ」

その様子を一部始終見ていた見神は不満を漏らす。

「見神も十分似合ってるよ。ただ、たつろーはへそ曲がりの天邪鬼だから素直になれないの。ねぇ、たつろー」

もう言われたい放題である。

「う、うっせぇ。着替え終わったんだろ?さっさと行こうぜ」

おれはごまかすように言い放つとさっさと玄関へと向かった。


なまにえの呪文:
一ヶ月ちょいぶりの本編っす。
本当はこの後のB-PartとあわせてA-Partとなる予定だったんですが予想以上にだらだら書いてしまいA,B-Partに分かれてしまいました。
まぁ別に尺がどうこうというものは「一切」無かったので全然問題ないんですけどね。それどころか7話冒頭がそこはかとなく閃いて幸運といえます。
A-Partはこんな感じでのろけまくっていますが(多分B-Partも)C-Partからはいよいよ「生贄」の真髄に入っていきます。そもそもこの小説は「ラブコメ」じゃなくていたって「シリアス」もののはずだ!誰のせいだ!ハッ!おれが悪いのか(爆

Writing finish 2000/09/12