| 7 | バスタ小説「生贄」第六話「カウントダウン」C-Part |
| ▲BACK | |
|
「どうなっているんだ?」 「見てのとおりだ。遂に『事』が始まったということだ。ただ、予定よりかなり早い。情報どおりだとあと一ヶ月は余裕があったはずだ」 ディータに呼び出された俺達は研究所へと向かった。 そして現在、俺はディータに導かれて巨大なパネルがある会議室にいる。 頼子と見神も研究室についてきたがこの件を話す訳には当然いかず、宇土達といっしょにゲストルームに残されていた。 「じゃぁなんでこんなに早く・・・」 「それが分からないのだ。まったくイレギュラーな事だった」 ディータ=ダークスと言えばこのプロジェクトの中核のはずだ。その彼女が今回の事の真意を理解できていないでいる。 「だってお前、この組織の幹部みたいなものなんだろう?」 「私だって組織の全てが分かっているわけではないさ。それに・・・」 「それに?」 「私がDシステムの基本理論を確立してから組織内は大きく変わった。プロジェクトの為に組織は肥大化し分割化していっている。」 「それは・・・・」 「このプロジェクトは大きく分けて4つのセクションに分けられている。うち要となっているのが昨日も説明したとおり『A』と『D』となる。そして私たちが所属している『D』にしても組織としても更に細分化されている。これだけの大掛かりな組織だ、私たちとて把握しきれていない部分は多い。特にここ1年の『A』の動きはTOPシークレットに属していた。当然こちらとしても出来るだけ情報は集めたが・・・予定を早める『何か』があったのだろう」 「何か?」 「うむ、それ以上は私にもわからない」 そうか・・・ 「つまり・・・結論から言うと・・・はじまると言うことか?」 一番知りたいこと・・・アーマゲドンと呼ばれる終末戦争がはじまるのかどうか 「いや、実際はまだだ。アンスラサクスはこのままではまだ実戦投入の段階ではない」 「どういうことだ?」 「戦闘段階への準備期間が必要と言う事だ。具体的にはこうだ」 とディータはパネルを操作しながら説明しだした。 色々と専門用語を並べ立てて説明していたが簡単にするとこう言う事らしい。 ☆最終戦争までは計算上、後120日の時間がある。アンスラサクスはそれの逆算で先行して姿をあらわしている。 ☆始めの一ヶ月はその狗体を見せるために世界中を移動する。その間に駆動関連の最終チェックおよびテストを行う ☆その後は南米のアマゾン流域に中流。産卵を開始。 「そ、その産卵っていうのはなんなんだ?」 俺はあの姿から想像しがたいその単語を聞いて思わず声をあげる。 「実際は『産卵』というよりは『増殖』だな。」 どちらにしても想像したくは無い。 「今姿をあらわしているアレは『アンスラサクス』と呼ばれる兵器のコアだと考えてもらってくれ。つまり90日間の間に手足と呼べるものを生成するのだ」 「アレが更に変身していくのか?」 「いや、あれはあれで固体としてはほぼ完全体だ」 ????? 「うーむ・・・・達郎、鯖の群生を見たことは?」 あぁあの何千と言う魚が一糸乱れぬ編隊を組んでいるアレだ。 「あるぜ」 「アンスラサクスとはまさにそれに相当している。最終的にはアレと同種の無機生体が何千と生み出される。そしてそれらはコアの統率の元、ひとつの生物のように編隊を組み活動する」 「す、すげぇ」 「通称『リヴァ』と呼ばれる統率システムだ。いくつかの編隊への再構成や個々による行動も可能だ」 「そんなのがあれば天使や悪魔だった目じゃねぇんじゃねぇのか?」 ディータの説明を聞いていた俺は感想をもらす。想像しがたいがかなり強力な戦闘力であるはずだ。であれば『D』と呼ばれるものの出番は無い。 「だめだな」 即座に否定する。 「天使や悪魔の力は計り知れない。上位のものどもになると惑星の一つや二つは単独で破壊可能ではないかというデータも出ている。」 ・・・・・・・ 「も、もしそれが本当だとしたら俺達がなにしても全く無意味なんじゃないか?」 「そう、私達が生み出す物理的対抗手段はアンスラサクス程度が限度だろう。だから必要なのだ。神が我々にひた隠しにしてきたあの力、霊子力の力が」 DAM! ディータは近くの机を両手でたたき付けるとこちらを見据える。 「だからこそ達郎、お前の協力が必要なのだ。昨日の事、考えておいてくれたか?」 「あぁ・・考えたぜ・・・」 「で、答えは出たのか?」 「出た」 「どっちだ?」 「答えは『No』だ」 俺は即座に昨日下した決断を答えた。 「ふ〜、そう言うとは思っていたがな」 ディータも分かっていたらしく特に驚きはしなかった。 「考えてみたって当たり前だろうが。昨日今日そんなこと言われて『はい、そうですか』なんていう奴の方がおかしい。そもそも俺はこんなことに自分の身を差し出すほど聖人じゃないんだよ」 「だろうな。それにお前には頼子もいることだしな」 な・・・ 「よ、頼子は関係ないだろが・・・」 否定するが口篭もってしまう。 「フフフ・・・まぁ良いさ。だがな達郎、これだけは覚えておけ。4ヵ月後、確実にアーマゲドンはやってくる。アンスラサクスでは完全には太刀打ちできない。お前がやらなければお前やお前の愛する人々は確実に死ぬ」 ・・・・・・・・・・・・・・ 「話はそれだけだろ?帰らせてもらうぜ」 ディータの問いには答えず、俺はディータを置いて部屋を出て行った。 「よく考えておいてくれ・・・」 ディータはそう言って俺を見送った。 「あ、たつろーお帰りぃ」 頼子達がいるゲストルームに戻ると見神がいつもの調子で出迎える。 「あれ?ディータは?」 頼子はディータの姿を探す。 「あぁ、ディータは忙しいらしくて見送れないとさ」 「そうなんだ」 「さて、ここにいつまでもいてもしょうがない。帰るとしようぜ。四四也と宇土はどーするよ?」 「あぁ僕らももう家に帰るとするよ。」 俺の問いに四四也が答える。 「んじゃ、また学校でな」 家への帰り際、俺はずっと考え込んでいた。 『達郎は自分とその周りの人たちの事だけ考えていればいいんじゃないですか?』 四四也の境内での言葉。 分かっているさ・・・俺がこの役回りをわざわざ背負い込む必要はないんだ、答えは簡単だ・・・しかし・・・ 『お前がやらなければお前やお前の愛する人々は確実に死ぬ』 ディータの言い放ったその言葉。なんで俺なんだ?俺じゃなければいけないのか? せっかく出した答えがまたもや混沌の闇にまぎれていく。 俺は・・・・どうすればいいんだ? 「・・・・達郎?」 頼子に声を掛けられ思考が中断する。頼子の方を見ると心配そうにこちらを見ていた。 「あ・・・な、なんだ?」 「んーん。ぼーっとしてるから声かけてみただけ」 「あ、あぁ・・・なんでもない」 「そう?・・・」 頼子はちょっと不思議そうな顔をしながら先ほどからしていたであろう見神との会話を再開した。 俺はその様子をちょっとだけみると再び考え事をし始めた。 自宅 見神と分かれた俺達はそのまま家に入る。その間会話らしい会話は無く俺はずっと考えいる。その間何度か頼子の呼ばれたような気がしたが空返事を続けていた。 「達郎!」 頼子は廊下に入ったところで急に俺の前に立ちはだかった。 「達郎!こっち見て!」 静かに頼子の方を向くと真剣な瞳で俺のほうを見つめている。 「どーしたっていうの?研究所からこっちずーっとだまっていて。ディータと何かあったの?」 ・・・・・・・ 「何があったかは私には分からない・・・けれど、達郎が何か辛いことを背負い込もうとしているのはわかるの」 その表情は少し涙目になっている。 「達郎がそんな顔をしているの、辛いのよ・・・」 その言葉に俺はハッとする。 『お前には頼子もいるしな』 ディータの言葉・・・そう・・・俺は・・・俺は世界よりも姉でもあり、恋人でもあるこの女を悲しませなくない。俺はこの愛しい女(ひと)を守りたいという想いがある。 俺は不意に頼子を抱き寄せた。その行動に頼子は『あ・・』と少し驚く。 「た、達郎?」 俺はその言葉に答えず。ぐっと抱きしめる。そして、 「守る・・・・頼子は俺が絶対守って見せる」 と繰り返すようにつぶやいた。 「・・・・・・・」 そのつぶやきに頼子は何も答えず、やさしく抱きしめ返すだけだった。 2000年1月1日・・・・人類崩壊のカウントダウンは始まった。 なまにえの呪文: つーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーことで、やぁーーーっとあがりました、Cパート!と思いっきり喜びたいところなんですがなんか最終的に繋ぎのやっつけ仕事、しかも通常の半分の文章量という・・・・・・すまぬぅぅ。 ですが、いよいよあっしが書きたかった第七話、第八話に突入です!きっとキーボードも軽やかにうごくこと・・・・・・・でしょう(自信なさげ) 今回出てきた単語「リヴァ」ですが竜戦士のコードネーム「システムリヴァイアサン」の基本中の基本のシステムと言う設定で出してみました(実際の設定ではそんなのありません)。システムリヴァイアサン自体はアーマゲドン後に立案開発されていたものですがまぁその名残みたいな感じのものがそこはかとなく出てくればいいかなぁと思って出してみました。 んでは次パートはめっちゃはやい登場になるよう、がんばるっす。 Writing finish 2000/12/03 |