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バスタ小説「生贄」第七話「 」A-Part
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2000年2月25日未明

ki〜−−−−−−−−−−n!

人気の少ない街路路に金属音とも取れる高音が響き渡る。

ki〜−−−−−−−−−−n!

その音の先には二つの影が踊るように動く影が見える。

Zi・・・GiGiGiGiGi

二つの影は人の形を模している。

BaSa!

二つのうちの一つには大きな二枚の翼の影が付随している。その姿はまるで鳥のようにも見えた。

URIIIIIIIIIII!!!!!!!

翼のついた影からだろうか、奇怪な雄たけびが聞える。
二つの影は交差を繰り返しながら場所を移動する。

ふと二つの影に街路灯の光があたった。

一人は20前後だろうか黒い皮のジャンパーを着た男・・・その影の主の名は上座達郎、そしてもうひとつの影は・・・鳥のようなその影の正体は神の尖兵『天使』。



「ったく、しつこいな」

俺は両腕を硬化させ両刀のように扱う天使の乱舞を剣で受けながら半分ウンザリするようにつぶやいていた。
ここ数日天使どもの強襲は毎日のように起っていた。今日に至っては既に3回目だ

「お前の霊子力に惹かれて天使や魔族が次々と出てくるはずだ」

二ヶ月前ディータはそう俺に忠告した。
初めは何かの脅しかと思ったのだが日々遭遇する頻度が上がっていく。
ディータの言う『霊子力に惹かれる』とはまさに呼んで字のごとくで俺の放っている霊子エネルギーの固有振動波(実際意味はよくわかっていないんだが)はあいつらにとって、かなりの目印になるようだ。
なぜそれで俺のところに来るかはまでは教えてはくれなかったが・・・


「yhiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii」

俺の一振りを避けると天使は羽根を広げて中空へと逃げる。

「ちっ、空に逃げやがったな」

俺は舌打ちしてみるものの全くあせってはいなかった。いつもの事だからな。

「空に逃げたってな・・・」

つぶやきながら俺は剣の柄に仕込まれているスイッチを切り替える。

「無駄だっつーの!」

そう言いながら俺は剣を大きく振るった。
次の瞬間、剣は生命を獲たかのように大きく孤を描く。刀身も先ほどの何倍ものの長さに伸びた。その姿はまるで鞭のようである。
この剣の名は「断罪の剣(ガリアンソード)。


「ガリアンソード?」

俺はディータに渡された細身の刀身を持つ剣をものめずらしそうに見る。

「今後達郎、お前に襲いかかってくるだろう天使達に対抗しうるためのささやかでもあり強力な『武器』だ」

「ささやかでもあり強力な?珍妙な言い回しだな」

俺の疑問に対しディータは「もっともだ」と即答した後、

「ガリアンソードは先日お前が使ったムラサメブレードと同様『霊子力』によりその力を発揮する。ただムラサメよりも霊子力による引き出される能力の幅が大きい。使い方次第によってはムラサメをも上回る戦闘力を引き出す代物だ。」

「なるほどね。でもそれなら無難にムラサメ貸してもらったほうが俺としては良いんだがな」

そんな力量によってはなまくらになってしまうものよりある程度実績があるこちらのほうが良いに決まっている。

「ふむ・・・・そちらを渡してやっても良いが・・・お前そんなもの持ち歩いて町をうろうろするのか?銃刀法違反ですぐに捕まるぞ」

あ”・・・・・・・しかしそんなことをいったら・・・

「こっちのガリアンソードだって、おなじじゃねぇのか?」

ムラサメよりかなりの細身とはいえ刀は刀。目立つ度合いに関しては一緒だ。

「それがそうでもない。柄の脇に切り替えスイッチ見たいなものがついてるだろ?それを切り替えてみろ」

柄の部分を見ると、なるほどスライド式のスイッチがある。

「このスイッチを切りかえれば良いんだな」

いわれるがままに指示されたスイッチを切りかえる。

ガシャン

切り替えた途端その細身の剣は多少の金属音を立てながらまるでロープの様にダランと垂れ下がってしまった。
通常では考えられないその状態に驚きを隠せない。

「ふふふ、驚いているようだな。まぁその刀身を見てみろ」

俺の反応を明らかに面白そうに傍観しているディータは既に刀身とは言い難いそれを見るように指示する。
俺の反応を見て面白がっているディータに少しむかつきつつもいわれるがままに刀身を凝視する。

「・・・・・・ほぉ」

見ると刀身は軟体化しているわけではなく、いくつかのパーツに細分化されている。ちょうど武術で使われる多節昆の印象を受ける。

「そういうわけだ。刀身の内部に特殊な鋼線が入っていて鞭の様にも使える。通常はベルトに偽装できるというわけだ」



「!!」

鞭化したガリアンソードは中空に逃げた天使の体を的確に捕らえる。
この剣の背骨にもあたる鋼線はかなり面白いギミックになっており刀身だったときの5〜7倍までその長さを延長することができる。
更に「霊子力の力」とディータは言っていたが自由に軌道や伸縮の度合を変えることも可能だ。

「よっと」

天使を縛りつけたそれは無造作に地上に向かって行き天使を叩きつける。
俺はノーリアクション。この剣はそういう芸当が出来のだ。
叩きつけたタイミングに併せて俺は天使への呪縛解くとを鞭から剣の形状に切りかえる。
天使の野郎はたたきつけられた反動で大きくバウンドする。どれだけ強力に叩きつけたかが見て取れる。通常ならかなりのダメージを受けていてもおかしくは無い。

「Ugigigigi」

・・・・が、こいつらにはまったく効力が無いのだ。いつもながらムカツク限りだ。

半アストラル体の奴らは物理攻撃がほとんど通用しない。それはこの二ヶ月近くの闘いで十分承知しているのだがついつい癖なのか喧嘩パターンに持っていってしまう。
まだまだ自覚が無い、とディータには良くいわれる。

「やっぱり『これ』を使うしかないな」

フゥと一つため息をつくと、俺は剣を構え直し、ターゲットである天使のほうを向きかえる。

「ん?」

天使のほうもこちらのほうを睨みつけ・・・・・構え?・・・らしきものをとっている。

「・・・・・・!や、ヤベェ」

見覚えのあるその構えに思わず声を出す。

あれは・・・・・・『チャペル(聖歌)』

チャペル。ディータの言うに一見歌にも聞えるこの御業は高速言語による原子破壊プログラムだという。

俺は構えを解きジャンパーを脱ぎすてシャツの左腕をめくりあげる。なぜって?それは防御に入るためだ。
めくられたその腕には微細な刻印が施された腕輪とそれに付随する細いチェーンのようなものが3本腕に巻きついているのが見える。

「・・・・・動けよ」

そう呟くと俺は左腕を天使に向かって掲げる。
かざしながら俺はふと、ディータからこいつをレクチャーされた時のことを思い浮かべた。



「そう・・・腕を対象にかざしてカタパルトが3方向に展開する所をイメージして・・・」

カタパルトとは腕輪についている3本のチェーン状の物体のことである。

「・・・こ、こうか?」

俺は言われたとおりにイメージをする。すると、3本のカタパルトはこちらの意思をうけとったの如くイメージどおりに3方向に展開した。

「なかなか筋がいいな。では続いて三本のカタパルトにそって円状の膜が出来たところをイメージ」

なんか難しい注文をするな、と思いつつコンビニで売っている500円傘を連想する。
あっけないほど簡単に3本のカタパルトの頂点を通化するように円のフィールドが発生した。はっきりとは見えないがフィールドのある背景がかなり歪んでいることで見て取れる。

「一発で成功するとは・・・・さすがはアダムと言ったところか・・・・」

「そういう呼び方やめろっつーの。それよりこの膜を発生させて何に使う気だ?」

「盾だよ」

「盾?これが?」

悪いがとてもこんな膜が盾として使えるとは庭かに信じがたい。せいぜい傘の代わりにしかならないだろう。

「冗談も休み休みいえ・・・・・ウァ!」

ディータに目をやるとかなにか構えている・・・あれはレールガン・・・この間、天使野郎と戦闘をしたときにあいつが使ったやつだ。どこに隠し持ってやがったんだ。

「論より証拠ってね・・・実際にやってみたほうが分かりやすい・・・でしょ?」

「でしょ?じゃねぇよ!んなもんこっちにむけんな。あぶねぇじゃねぇか」

「イ・ヤ・ヨ♪」

クスクスと笑みを浮かべつつ、即座に否定。

「撃つからな・・・しっかり構えていろよ」

既に射撃準備OKらしい。
俺は反射的に『盾』を前に付きだした。

チューーーーーーーーーーー・・・・・・・・・・・・      。

一瞬聞こえるレールガン特有の空気を切り裂くような甲高い振動音。しかし次の瞬間その音は消える。
ドップラー効果にしては不自然な音の流れ。俺はおそらく弾道であろう斜め前に視界を移した。



そこには不思議な光景が写る。

レールガンから射出された弾丸が空間が歪んだ位置、つまりディータの言う『盾』の位置で回転しながらもそれより前に進めないでいる。

「どう?これがこの「盾」の力。空間と空間の間に数μの歪みを作り理論上、全ての『進行』そのものを無力化させる」

「全てのものを無力化?」

「そう。全てをだ。つまり・・・・」





「つまり・・だ」

俺は『盾』の展開を完了させ、それを前面に付き出す。その空間の湾曲面積、つまり盾の広さはカタパルトをゆうに超え半径1Mもの巨大な円盤を描く。

Se〜ーーーーーーRa〜ーーーーーーーMooooooooooooooooーーーーーーー

聴覚領域スレスレの高音域の歌声が天使より発せられ俺に襲いかかる。

「こいつでチャペルも止められるということ!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

声は俺のところまでは届かない。盾がチャペルを遮断しているからだ。代わりに石を投じた水面の如く空間が更に歪みを増す。

・・・そろそろ決着(けり)を付けるか・・・

左腕で引き続き防御をしつつ、右手に握られたガリアンソードに『気』を込める。
すると細身のその剣の両刃より白く光るものが何かを象る様に広がる。その広がった様は広幅の剣、バスタードソードを象る。
俺は剣を伏せるように構えながら盾の歪みが収まるのを待った。










今・・・だ!

盾を瞬時に収納すると即座に天使に向かってダッシュする。距離は約10M。

TAN!

手前3Mで俺は上に飛びあがり、右腕にある剣を両手に持ち代え大きく振り被るモーションを取る。



































「しっかしこうも毎日毎日、うざってぇよなぁ」

脱ぎ捨てたジャンパーを拾い上げ羽織直す。
上空からの唐竹割りにより天使は一瞬にして昇天した。死骸はまったく残らずそのまま光の粒子へと原子分解する。「昇天」と言う形容は的を射ているだろう。

「いつまでこんな事をしてなきゃいけねぇんだ・・・・・あ、いけね。早く帰えんねぇとまた頼子にどやされちまうな」

今日はもう襲ってくる事も無いだろう。そう半分願いながら俺はそそくさと帰路につくこととした。








なまにえの呪文:
お久しぶりでげーす。約半年振り(もっと?)の生贄っす。
今の今まで何やってたかと言うと・・・・これにはふかーい理由がありまして・・・・話すと長くなるんですが・・・・・・・・・(しばし沈黙)・・・・・・・・・単なるサボりっす。申し訳ないっす。ホント。
さて第七話ですがタイトルは伏せています。なんせタイトルがこの七話の全てですから。
一応7話自体は7月末までに完了する気合で行きたいと思います。よろしゅ☆

Writing finish 2001/06/07